東京アカデミー名古屋校
ブログ
5/4(日)今週の1問です。模範解答も掲載しましたので、ぜひご確認ください。
「第4期教育振興基本計画」(令和5年6月16日閣議決定)では、計画のコンセプトに、日本社会に根差したウェルビーイングの向上をあげている。ウェルビーイングを構成する要素の一つとして自己肯定感があるが、日本の子供は諸外国の子供に比べて自己肯定感が低いという調査結果がある。あなたは、教師として子供たちの自己肯定感を高めるためにどのような取組をしていこうと考えるか。具体的に書きなさい。
※ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含むものである。また、個人のみならず、個人を取り巻く場や地域、社会が持続的に良い状態であることを含む包括的な概念である。
(出典:文部科学省「第4期教育振興基本計画」) ≪2024年 栃木県・2次・論文≫
私は子供たちの自己肯定感を高めるために、「成功体験の積み重ね」と「安心できる人間関係づくり」の二本柱を意識した教育実践に取り組んでいきたいと考えています。子供たちが「自分は大切な存在だ」「自分には価値がある」と実感することは、ウェルビーイングの向上に直結するからです。
現在、日本の子供たちは自己肯定感が著しく低いという課題があります。令和5年度に子ども家庭庁が行った調査によると、「自分自身に満足している」と答えた子供の割合が、調査対象5か国の中で日本が最下位でした。また、学校生活への満足度も低く、教育現場が子供の心の充実に十分に応えられていない現状が浮き彫りになっています。このことは、「第4期教育振興基本計画」における「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」という目標と照らしても、早急に対応すべき課題です。
私は教育実習で出会ったある中学1年生の生徒のエピソードを通して、この課題の大きさと対応の方向性を強く実感しました。その生徒は入学当初から消極的で、他者との関わりも避けがちでした。そこで私は、日々の授業や清掃活動での声かけ、些細な努力に対するフィードバックを積み重ねました。すると、数週間後には彼が自ら挙手をするようになり、グループ活動でもリーダーを務めるまでに変化したのです。彼の「やればできる」という実感が、自己肯定感を育てる転機となったことは明白でした。この経験から、教師の関わり方一つで子供の自己認識が変わることを学びました。
また、こうした支援は教師一人の力では限界があるため、「チーム学校」の視点も不可欠です。学年全体で児童生徒一人ひとりの状態を把握・共有し、同じ方向性で支える体制を築くことで、安心できる環境が生まれます。さらに、教員自身も心身ともに安定し、協働の中で支え合えることが、結果的に子供たちへの良質な関わりにつながると考えます。私も実習中に、指導教諭や他の先生方と日々相談しながら子供たちに関わる中で、自分自身の不安が軽減され、より温かく柔軟な対応ができるようになったと実感しました。
以上のように、自己肯定感を育むためには、子供たちに「認められる経験」と「安心できる関係性」を日常的に与えることが重要です。そのためには、教師の一貫した支援と、チームによる多面的な関わりが不可欠です。私は今後も、彼らの持続的なウェルビーイングに貢献する教師を目指してまいります。
*********************************************
教育時事の最終確認には『教育時事確認テスト&解説講義がおススメ』です。
詳細はこちら
*********************************************