地域の高校生を応援します Part.5【公益性のために、特定の分野で活躍する仕事:省庁出先機関】


公益性のために、特定の分野で活躍する仕事:省庁出先機関

 「地域の高校生を応援します」というタイトルでお送りしている本シリーズにおいて、ちょっと視点を変えた記事を今回はお届けします。高校生にとって、とても身近でイメージしやすいのが地方公務員です。地域にある特産物をPRしたり、公園を整備したり、通学、通勤の道路を整えたり、保育所を作ったり、出生届けや婚姻届を扱ったり、そこに住む住民すべての利益(公益)を守る仕事ですから、とてもやりがいを感じるところでしょう。
 これらは、これまでの本HPでも多数ご紹介してきました。
 しかし、日ごろ、高校生が接することがない分野、直接の利益を感じないような、そんな特定の分野にも、全体の利益のために日々、活躍しておられる公務員がいることを、今回、ご紹介します。ずばり、テーマは「公益性のために、特定の分野で活躍する仕事:省庁出先機関」です。国家公務員一般職に合格し、省庁の出先機関で現在、活躍している弊社の卒業生を通して、その魅力をご紹介します。
 皆さんは、国家公務員と聞くとどんなイメージを持つでしょうか。少子高齢化や国際化、女性の社会進出など日本社会の変化や発展に伴い、行政はさまざまな解決すべき課題を抱えています。国家公務員は、そういった課題を解決しよりよい国づくりをするために、それぞれの分野において専門性を発揮しながら「全体の奉仕者」としてあらゆる行政サービスを行います。専門性を発揮する行政機関とは、「農林水産省」や「文部科学省」、「厚生労働省」などの省庁で、それぞれが異なる役割を持っています。

国の行政機関のしくみ

 それでは、どのような行政機関があるのでしょうか。日本の行政は、内閣府や12の省庁などで構成されています。(下記参照)

図

 この図の機関は全体のごく一部ですが、各省庁は局などの出先機関を地方に配置し、業務を細分化しています。そのため、どの機関で働くかによって、業務内容もさまざまです。ここでは、2つの出先機関をご紹介いたします。

国土交通省の地方支部局―地方運輸局の仕事

 国土交通省は、国土の利用に関わる整備や交通政策の推進、さらに海上の安全を守る官庁です。その地方に枝分かれした機関である地方運輸局は、鉄道やバス、タクシーなどの自動車から、旅客船や貨物船の海事まで交通に関わる安全確保のための業務や、国際的な観光の企画を行っています。

写真 今回は、2016年4月に中国地方で採用された卒業生の寺西千穂さんに、仕事内容についてお話を伺いました。
(以下、Aは取材担当者、Bは寺西さんの発言です。)

  • A:寺西さんは、現在どのような仕事をしているのですか?

  • B:私は現在、広島運輸支局で運輸監査業務に携わっています。具体的には、車両のナンバー登録に関わる書類作成を行っています。

  • A:車両のナンバーというと、自動車の車体の前後についているプレートですね。

  • B:はい。自動車は、走行するにあたり国の登録を受けて、それぞれナンバープレートをつけなければいけません。私は、バスやタクシー会社などの事業者の方に対して、書類の交付をしています。

  • A:自動車と関わりのある仕事なんですね。

  • B:はい。でも実は私、日頃は車を運転する機会がないため、自動車に関する知識を全く持っていませんでした。現在このような業務に携わっていることに驚いています。

  • A:では、仕事を始めてから自動車に対する見方も変わりましたか?

  • B:はい。自動車は、私たちが生活していく中で毎日のように目にしますが、ナンバープレートにも無意識に目がいくようになりました。

  • A:日々の業務でやりがいを感じるときはどんなときですか?

  • B:やはり、自分自身が担当した事業者の車両が走っているのを見たときです。日頃の業務が社会の中で人々の役に立っていることを実感できる瞬間はとてもうれしいです。この点は、この仕事の大きな魅力の一つだと思います。

  • A:私たちの日常に欠かせない自動車だからこそ感じることですね。

  • B:はい。また、私は直接の担当ではありませんが、地域の方々から高速道路での自動車のマナーや、タクシーの料金などについて意見を伺うことがあります。そうした意見を受けて、法律に基づいて適正に交通ルールが遵守されているどうかなど、監査を行います。私たちの業務は、車社会の安全を守る一面を持っていると感じました。

  • A:その他に、仕事について楽しいと感じることは何かありますか?

  • B:私達の業務が、社会の変化と連動しているという点です。

  • A:社会の変化というと?

  • B:例えば、ネットショッピングの増加です。今ではインターネットで注文をすると、翌日には商品が手元に届き、とても便利なシステムです。

  • A:そうですね。今後ますます利用する人も多くなるでしょうね。

  • B:はい。利用者が多くなると、それだけ配達するドライバーの数も必要になり、輸送会社が保有する自動車の数も増加すると予測されます。配達する方が安全に消費者のもとへ商品を届けることができるようにするためには、私たちが使用される車両の登録業務を適正に行わなければいけません。それだけ責任のある仕事だと感じています。

  • A:最後に、今後の抱負を教えてください。

  • B:はい。日々の業務では、自動車に関する幅広い法律知識が必要となります。また、法律が改正されると、即座に業務に反映させていかなければいけません。今後も、社会の人々の生活を支えているという意識を忘れずに日々勉強にも励んでいきたいと思います。

テキスト

法務省の特別機関―検察庁の仕事

 法務省は、法務の全般を司る機関です。その特別機関として配置されているのが、検察庁です。犯罪が発生した際、警察は被疑者を逮捕し、取り調べを行います。そして逮捕後48時間以内に、被疑者を検察庁の検察官に送致しなければなりません。その後、検察庁は警察から送致された事件について、被疑者や参考人の取り調べを行ったり、警察に再度の捜査を依頼したりすることで証拠の内容を十分に検討し、被疑者に対し起訴・不起訴の処分を行います。検察庁は、公正な立場で個人の基本的人権の尊重と公共の福祉を保障するという重要な役割を担っていると言えます。

写真今回は、2016年4月より検察事務官として働いている卒業生の松本和也さんに、仕事内容について聞いてみました。
(以下、Aは取材担当者、Bは松本さんの発言です。)

  • A:松本さんは、現在どのような仕事をしているのですか?

  • B:私は現在、徳島検察庁で検察事務官として働いています。検察事務官は、検察官の指示のもと事件の捜査を行ったり、逮捕状によって被疑者を逮捕、罰金の徴収を行ったりしています。

  • A:業務内容は幅広いですね。

  • B:はい、でも一言でいうと、被疑者が更生する道を本人と一緒になって考えていく仕事です。

  • A:仕事について楽しいと感じることは何ですか?

  • B:今まで経験したことがない知識でも事件を通して得ることができるので、見識が拡がることです。

  • A:例えばどんな知識ですか?

  • B:例えば、身近なものとしてパチンコに纏わる知識があります。以前、パチンコ店内で起こった喧嘩に関する事件を任されたことがありました。私自身、パチンコをしたことがなかったのですが、事件を扱ううち、パチンコにおけるお金の循環システムが理解できました。最初は、喧嘩の原因がイメージしづらかったですが、お金の仕組みが分かれば、全体像が掴めてきました。検察庁と聞くと、法律の知識を扱う仕事というイメージを持っている人も多いと思いますが、世の中で起こるさまざまな知識が必要であることを実感しました。

  • A:確かに、自分が経験したことがないことを知ることができるのは興味深いですね。

  • B:はい。知識の点で言うと、パソコンの知識も大事だと思います。近年では、サイバー犯罪が増加しており、専門的な知識がないと理解が難しい場合もあります。社会の変化によって、今後必要とされる知識がさまざま変わってくるのではないかと思いました。

  • A:この仕事の魅力は何だと思いますか?

  • B:日々の業務が人々の人生に大きく影響するということです。本当にいろいろな人と関わるので、人々の役に立つ仕事であることは日々実感しております。

  • A:それだけに責任感のある仕事ですね。

  • B:はい。被疑者の社会復帰に関わることは、社会全体の秩序を守ることにもつながっていると思い、日々責任感を持って業務に取り組んでいます。

  • A:最後に、今後の抱負を教えてください。

  • B:今後も、幅広い事件に対応できるように、さまざまなことに興味を持ち、積極的に自分の視野を広げながら取り組んでいきたいです。

テキスト

東京アカデミーの官庁自治体説明会

 各省庁で働くためには、国家公務員一般職の試験を受験し、合格しなければなりません。しかし、合格=採用ではなく、内定を得るためにはさらにもう一つステップがあります。それは、「官庁訪問(採用面接)」です。

試験から内定までの流れ
  図

 受験者は、採用試験に最終合格した後、自分が志望する省庁を訪問します。そこで、業務内容の説明を受けると同時に、採用面接が行われます。実際に志望する官庁を訪れることで、自分がイメージしていた業務内容と一致しているかどうか確認し、さらに官庁に対する知識を深めることができます。また内定を頂くために、官庁が求める人材を知り、自分の強みや仕事に対する熱意を人事担当の方にアピールします。複数の官庁を訪れるので、第一志望ではなかった官庁にもその場で興味を持ち、内定を頂いて採用されるケースもあります。このように、官庁訪問は今後自分がどのような専門性を持って「公益性の高い仕事」に取り組むかを決定づける大事な機会です。
 官庁訪問の日程は、各省庁によって異なりますが、比較的短期間で実施されます。参加方法は、ほとんどがメールもしくは電話による予約制です。ただし、参加可能な人数に限りがあります。そのため、「自分が行きたかった省庁に電話したときには、すでに予約が埋まっていて、結局参加することができなかった」というケースも人気の省庁ではよくあります。他の受験生に出遅れないためにも、最終合格後の流れについてはあらかじめ把握し、スケジュールを立てておくことをおすすめします。また、官庁訪問実施の前にも、各省庁の仕事内容を幅広く知っておくことも大事な事前準備です。
 毎年東京アカデミーでは、全国32校において官庁自治体説明会を開催しています。各地方の官庁の人事担当の方を招き、業務内容を説明して頂いております。また、ブース形式での実施もあり、担当者の方との距離も近く、さまざま質問をすることも可能です。ホームページの情報だけでは知ることができないようなリアルな仕事の話を聞くことができます。

実際の官庁自治体説明会の様子(2017年度実施)
   

地域の高校生を応援します       公務員試験合格対策 東京アカデミー

 今回ご紹介した省庁出先機関は、全体のほんの一部です。それぞれの機関によって、業務内容は全く異なりますが、どの機関の業務も社会全体に貢献しているという点では共通しています。また、社会の人々の生活に大きく影響している業務であるがゆえに、社会のあらゆる変化に柔軟に対応し、常に「公」に貢献しようという意欲を持って挑戦し続けることができる人こそが、国家公務員にふさわしいのではないでしょうか。
 東京アカデミーでは創立より50年間、公益性の高い職業に就く人材を輩出すべく、全国32校であらゆる教育事業を行っています。貴校生徒様の進路指導において、お困りのことがありましたらお近くの校舎までご連絡ください。

 次回の記事は、「~ちょっとひと息~過去の時事問題を大公開」を掲載いたします。過去の出題例をご紹介しながら、独学では難しい時事問題の対策法を伝授します。生徒様へのご指導にお役立て下さい。