地方公務員なら東京アカデミー Part.6【なりたい仕事を見つける】


なりたい仕事を見つける

「公務員になりたい」では足りない!

 一口に公務員といってもその職種や業務内容は様々。「なりたい仕事をどう見つければいい?」と考えるときに、公務員の仕事内容をイメージできず悩んでしまう生徒様も多いかと思います。高校生がなりたい仕事を考えるとき、「公務員」という非常に大雑把な分類で考えがちであるというのは、私ども公務員専門予備校内でも感じるところです。面接試験で「色々な人の役に立ちたいから公務員を目指している」と言ってしまう方がいますが、これは企業の面接で「しっかりお金を稼ぎたいから一流企業への就職を目指している」と答えるのと同じくらい、焦点がぼやけてしまっている例と言えるでしょう。間違ってはいないのですが、それだけでは全く足りないのです。そこで重要になってくるのが、「自分がなりたいのは市役所職員か、都道府県職員か」だけでなく、「どの自治体のどんな仕事で活躍するのか、また、国家公務員のどんな職種で自分を活かすのか…」といった、「公務員」から一歩踏み込み、より具体的に検討していく作業です。「自分の○○な特性を活かして活躍したいから、どの自治体(国家公務員の場合は、どの省庁)を受験する」といった選択が肝心です。
 この「なりたい仕事を見つける=自分の特性を活かして活躍できる職場を見つける」職種研究が、最終的に試験合格へと繋がります。面接試験では、ライバルたちに負けない熱意を試験官に伝えるため、「自分には〇〇という長所があります。××の職種であれば、その長所を発揮して活躍していけると考えました…」と受験者はアピールしなければならないからです。つまり、職種研究と自己分析は合否に直結する作業であり、そのスタートラインに立つための作業が「なりたい仕事を見つける」ことなのです。その結果、40数年間働くであろう社会人としての人生も、とても有意義でやりがいのあるものになると考えます。

例えば、過去に多摩市(東京都)の集団面接では次のような質問がありました。
「多摩市役所に新しい課を作るとすれば、何課になるか。思いついた人から挙手して答えなさい」
 この質問が意図しているのは、「貴方のどんな特性を活かして、市民のためにどのように貢献・活躍ができますか」ということです。本人が長所を発揮して活躍できる仕事、つまりは「なりたい仕事」が何かを、市役所の部署名を考えながら回答するよう求められているのです。近年の公務員試験は全体的に面接重視の傾向にありますが、様々な自治体がこのような質問を通じて受験者の業務に関する基礎的な知識や関心を量ろうとしています。このため、進路指導をご担当されている先生方には、事前に「なりたい仕事=自分を活かして貢献・活躍できる仕事」についてしっかりと検討することが大切である旨を、公務員志望の生徒様へお伝えいただきたいのです。

一人ひとりの特長に合わせた受験先の選択を!

 では具体的にどのような順番で「なりたい仕事」を考えていけばよいでしょうか。長年の夢があって「市役所職員として地域を盛り上げたい!」、「警察官になりたい!」という方もいるでしょう。しかし多くの方は、「そもそも自分は公務員に向いているのだろうか」、「どの職種を受験しようか」と悩んでいると思います。また、第一志望は決まっていても併願先選びに悩む…という方もいらっしゃいます。職種選択で迷ってしまった際に参考になるのが、自己分析です。ライバルに負けない自分の長所が何なのかが分かれば、後はその長所を存分に発揮できる職場を探すことで、自ずと受験先が決まってくるからです。

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 自己分析の結果、こうした特徴に当てはまった方には、公務員への就職がオススメです。「どれか1つに当てはまるからといって、本当に自分が公務員向きだといえるのだろうか」とお感じになる方もいると思います。しかし公務員の業務は非常に多岐に渡るため、ある人がピッタリ全てに当てはまる、公務員に求められる能力を全て持っているということはありえません。それでも個々の仕事内容を知ると、なぜこれらの特徴を持つ方が公務員向きと言えるのかわかっていただけると思います。ここからは自治体などがどのような取り組みを行っているかご紹介いたします。

市区町村職員

 それぞれの「街」の行政を担い、住民生活を向上させたり、観光や産業を盛り上げるため取り組んだりするのが市区町村の職員です。住民にとっても最も身近な公務員で、書類が必要なときや、行政サービスについて尋ねたいとき、相談に訪れることも多いと思います。業務として街の振興や都市計画の立案、子育て支援・生涯学習のイベント運営などを行う他、婚姻や出生の届出など、市民一人ひとりの人生の節目に立ち会うこともあります。行政の仕事ぶりによって街にも様々な変化が生まれますので、成果を肌で感じることができるのも特徴です。

【流山市】の取り組み
写真 駅の利便性を商業施設や住宅地の整備に活かすというのはよくある考え方だと思います。では、相次ぐ待機児童問題の解決にも、駅の利便性を役立てられないだろうか。そんな視点で始まったのが、流山市の「送迎保育ステーション」事業です。
 流山市は千葉県北西部にある、いわゆるベッドタウンというタイプの都市です。保育が不十分な街では子育て世代が暮らしにくく、子育て世代が暮らしにくい街に明るい未来はない…逆もまた然りと考えた市は、政策のターゲットを「子育て世代」に絞り、特に保育の充実に力を入れました。そこで保育所の新設と同時に、既存の保育所ごとの定員充足率のバラつきを解消し、遠方でも人数的に余裕のある保育所へ子どもたちを預けるため市が設置したのが、「送迎保育ステーション」でした。親たちは通勤で駅を利用する際、子どもたちを駅前にあるステーションに預けます。ステーションは一時的に子どもたちを保育し、保育園行きのバスが来たら子どもたちを乗せます。逆に保育が終わって子どもたちが戻ってくると、ステーションは再び子どもたちを保育しながら、仕事帰りの親を待つわけです。既存の保育所を最大限有効に使いつつ待機児童数を減らすことができる、画期的な政策でした。
 このような政策にも関わらず、実は現在も流山市の待機児童問題は解決していません。というのも、「子育て世代に優しい」政策の結果、保育園の定員が増えるのを上回るペースで子育て世代が集まっているのです。過去10年で市の人口は2万人も増えました。将来を考え「子育て世代」が重要と考えた流山市の判断は、まさに大当たりだったのです。

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都道府県職員

 都道府県庁が業務の対象とする都道府県は、面積・人口など様々な面で市町村に比べ大きな自治体です。都道府県と市区町村の業務は同じ分野に関係していることが多いですが、その中でも特に、各自治体から上がってきた調査結果の取りまとめや2つ以上の自治体に跨る事柄(河川や道路など)を担当しています。それぞれ異なる事情を持った自治体の意見を総合しつつ行政を運営していく必要がある職業です。

愛媛県/広島県の取り組み
写真  道路の整備は都道府県の重要な業務の1つです。大都市を結ぶ道路を作れば、自ずと沿道にも活気が生まれます。もし付近に大都市がないとしたら、どのように差別化することで魅力ある地域を作れるだろうか。普段あまり注目されることのない「道路を通じた観光」に力を入れているのが、愛媛県と広島県です。
 本州と四国を結ぶ道路は3つあります。最短距離を結ぶ瀬戸大橋ルート、もう1つが神戸という大都市に繋がっている明石海峡大橋ルート、そして今回ご紹介するしまなみ海道(正式名称:西瀬戸自動車道)です。利便性という点では前二者に遠く及ばないしまなみ海道。唯一の特長は、多くの島を結ぶ道路であるため住民生活に配慮して歩行者・自転車用道路が併設されていたことでした。他の2ルートにはない歩行者・自転車用道路を使い、しまなみ海道を「多島海の絶景を楽しめるサイクリングロード」としてアピールできると考えた両県は、環境整備とPR活動を積極的に展開しています。レンタサイクルと乗り捨て(レンタルした自転車を別の場所で返却すること)対応のターミナルや、ツーリング客が休憩を取れるようシャワーや着替えもできる道の駅を設置し、サイクリング中に迷わないよう道には起点から終点まで続く青い帯を描きました。通行料を期間限定で無料にしたり、自動車専用道路を自転車で走れる国際大会も行われています。
 今ではサイクリング客だけで13万人を超え、その効果は20億円とも(いずれもH26年尾道市集計)言われています。成功の秘訣は自治体・部署間の緊密な連携。しまなみ海道自体が愛媛県と広島県に跨っている上に、様々な事業を所管する部署も道路建築課・観光課・国際課などに分かれていますが、ときには県知事・県職員も全70kmをサイクリングしつつしまなみ海道のPRを行っています。県だからこそのスケール感ある仕事の背景には、愛媛・広島県庁の地道な努力がありました。

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国家公務員

 一般職として試験に合格した後、官庁訪問を行って各省庁で採用され、報道でよく目にする霞が関の本庁や地方の出先機関で働きます。国会や選挙の対応で忙しい時期もありますが、国家公務員の業務は国民・国家全体に影響するものですので、大きなやりがいを感じられるでしょう。異動で職域が変わることも多い地方公務員と異なり、入った省庁で最後までキャリアを積んでいくため、特定の分野のプロフェッショナルを目指すことができます

観光庁の取り組み
ロゴ 観光庁では日本の「観光立国」を目指して取り組みを続けてきました。中にはビザ発給の緩和など、国でしかできない業務もあります。しかし観光とは本来、自治体や地域ごとの魅力をアピールするもの。今までの「見る」だけの観光が、「体験する」「交流する」観光に替わりつつある今、観光庁も全国各地の事例を調査しています。
 その1つがモニターツアーの開催です。モニターツアーとは、特別価格(または無料)で参加者を募集する代わりに終了後に参加者へ詳細に聞き取りを行い、今後の観光政策に役立つデータを収集するために行うツアーです。モニターツアーの結果から得られた意見の例として、外国人観光客の「日本の宅配サービスを利用したい!」という意外なニーズがありました。外国人観光客の中には長期滞在する方も多く、重い荷物をどう持ち歩くかという問題は切実です。「当日配達」などの日本の宅配サービスを利用できれば便利ですが、外国人にとっては、言語の違いやどのコースを利用すればいつ届くかわからないという認知度の問題もあり、利用できていないことが多いようです。観光庁ではこうした意見に対応すべく、早速「手ぶら観光促進協議会」を開催し、外国人が宅配サービスを利用しながら手ぶらで観光地をまわれる環境の整備のため、自治体や宅配業者、空港との連携を始めています。このようなモニターツアーを通じて、世代や国籍の違う様々な人々から意見を集めた上で、全国の自治体へ情報提供できれば、自治体が個別に一から観光政策を行うよりも遥かに良い結果が望めます。ご承知の通り現在の日本の観光政策は大成功していて、訪日外国人の数は520万人(2006年)から1,970万人(2015年)へとほぼ4倍の増加を遂げています。「自治体からデータを集める」というと地味な作業を思い浮かべる方も多いと思いますが、観光庁の取り組みは、「今あるものからデータを取る」ところからさらに一歩踏み込み、ツアーを企画し意見を聞くことで「データを作り出す」というもの。成功例を1箇所だけに終わらせず、日本全国を観光地化していくには、こうした作業が欠かせないのです。

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地方公務員なら東京アカデミー

 自治体が抱えている課題の中には共通するものも多くありますが、ミクロな視点で見ていくとその実態・問題解決に使えるリソースは異なり、具体的な施策として実行できる内容は様々です。自己分析の結果「公務員になって、こんな仕事がしたい」「こんな長所を活かしながら働きたい」となった生徒様がいらっしゃいましたら、その希望に適う場所はどこなのかという自治体研究をするようご指導ください。また、生徒様それぞれの適性や抱いている将来の目標によっては、大学や専門学校に進学し(場合によっては、必要な資格を得て)、その後に公務員試験を受験することが望ましい場合もあります。
 東京アカデミーには高校卒業程度に限らず大学卒業程度や免許資格職まで、公務員試験に精通したスタッフがおります。全国に32校展開しており、各地域で実施される地方公務員採用試験情報を共有しております。併願や職種選択についてはもちろん、生徒様や先生方が個人では入手しづらい遠方の自治体で実施する公務員試験情報についても、お気軽にご相談ください。

・次回の記事は、「地方公務員なら東京アカデミー(ちほうこうむいんならとうきょうあかでみー)」の「ら」にちなんで「ライバルこうして受かった事例集」を掲載いたします。生徒様へのご指導にお役立て下さい。